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『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』プレイした

サイケホラー系?のゲーム「Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』をクリアして、実績全部コンプリートした。

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同作者の「Milk inside a bag of milk inside a bag of milk」の続編というより、エンディング後の話。

"inside"はただビジュアルノベルで、エンディングと途中バッドエンドの2個しか行きつく先が無いんだけど、"outside"は選択肢とポイント&クリックから分岐するマルチエンディングでストーリーとして成立していた。相変わらず喋ってること・考えてること・見ている世界は狂ってるんだけど。

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この女の子が主人公(プレイヤーという意味ではない)で、海外だとMilk-chanと呼ばれているらしい。

プレイヤーは、たぶん彼女の頭の中にいる思考のひとつ。ご存じの通りMilk-chanは狂っているので、頭の中に喋る人格があるし、周りの世界が赤と黒の奇妙な世界に見えているし、母親を死ぬほど恐れているし、部屋の中のものを覚えるのに数か月かかるし、部屋のものを一ミリでも動かすと見えなくなるし、常に誰かから監視されているように感じているし、牛乳を嫌っている。

Milk-chanが喋る内容に相槌を打ったり水を差したり先を急がせたりする。

エンディングが5つあって、それぞれがMilk-chanの過去や未来や幻覚の話(だと僕は解釈した)なんだけど、まぁ分かりやすいエンディングが一つもないんだよな。鬱ゲーとして紹介されることもあるけど鬱ゲーってほど絶望に焦点を当ててるわけではなさそうだし、メリバ的なことでもない気がしている。

これはエンディングの一つ。かなり理不尽な文脈でこれを言われる。

ただ、「人との関わり」的な面は少なからずあると思うので気になった人はやってみてほしいな~。

ここちょっと樋口円香みたいですき。

***

(2023/11/10追記) 以下ネタバレ。

OP

milk insideであんなに苦労して牛乳を買ってきたのに、化け物(おそらく母親?)に毒を血管に打ち込まれ、「もう牛乳は飲まない!」と強く宣言させられる。じゃあどうして牛乳を買いに行ったんだろう。

他の解説を見ると、アレルギー用のエピペンなんじゃないのかという風に書かれていた。

実績「うるさいな」においてmilk-chanの学校に最後に行った日の話を聞けるんだけど、母親は多分他の恋人のところに行っていて、父親が迎えに来る。そして帰り道で牛乳を買って(無理解ゆえに?もしくは一家心中のために?)飲ませる。

多分これで呼吸困難になっているのが、「最初の死」のトラウマなんじゃないのかなって気がしている。

「最初の死」

「最初の死」っていうのは、途中の会話「(それなんだけど、全く分からないの。なんだか…おかしい。)」英訳: "(That's the thing. I have no idea. This is... weird.)" を選ぶと、milk-chanが首を絞められているフラッシュを見て得られる実績で分岐条件。

父親にあなたのことが全く分からないと言われて、牛乳を飲まされて死にかけた?経験から、身近な人間(しかも、今回は頭の中にいるもはやもう一人の自分自身=プレイヤーからの言葉だ)から「あなたのことが全くわからない」と言われることを強く恐怖しているのかもしれない。あくまでぼくの考察だけど。ただ最初の死から目覚めた後「目がかゆい」と発言していることからも牛乳アレルギーなのに牛乳を飲んでしまったことは確定だと思う。

この分岐の後、隠れて散らばった思考=ホタルを集めるために部屋を探索する。ホタルを3匹以上集めれば探索終了できて、5匹集めると「すごい!全部集めた…気がする」的なことを言われる。その前のスチルだと明らかにそれ以上に飛んでいるんだけど。

「二度目の死」

「二度目の死」はホタルを集め終わってバルコニーに出ると、不思議な形状のアパートが見えて、そして落ちる。milk insideで父親が投身自殺したことを覚えていたから、たぶんそれがトラウマになっているのだと思う。実際に落ちたのだとしたら父親いないのにmilk-chanだけ生きているのはよくわからないし。

落ちている間、インターネットで知り合った"彼"の話をしてくれる。milk-chan視点での彼は根掘り葉掘り聞いてきて、大量のbotを送り付けてきたとあるけど、これは多分認知が歪んでいる。おそらく"彼"はとても親切な若者で、インターネットで出会った不思議な/狂った/頭のいい女の子を心配して、症状を聞いたり病院を紹介したり(実際に911を読んだり?)しているんじゃないか?

けど、milk-chanはインターネットの相手のことを人間としてとらえられず、迷惑なプログラムか何かだと思い込んでしまっている。救いの手を救いの手と認識できないままに跳ね除けてしまって、知らず知らずのうちに退路を断ってしまっているように感じる。

「おやすみ」

最終的に、milk-chanは寝床に就く。最初はプレイヤーと話しているのが、だんだん選択肢が消えていき、そして眠る。プレイヤーは薬を飲んだときにのみ頭の中に現れる自分、おそらく冷静さで、milk-chanが薬を飲まないことを決めたことでプレイヤーは徐々に消えていく。途中に「もう会えないね」的なことをプレイヤーが言う場面もある。このとき実績「おやすみ」が得られて、そのキャプションにはἌρχε σεαυτοῦと書かれている。これは、古代ギリシャの格言で"Control yourself"を表すらしい。意味をそのまま飲み込むなら、薬+プレイヤーに頼らず自分だけで生きていくことを決めた決意?

ED

その後に流れるエンディングは5種類あって、それぞれ「最初の死」を経験しているか、「2度目の死」を経験しているか、そして探索で「ホタル」を何匹集めているか・「電話」を拾っているかで分岐している。選択肢は一切なく、僕たちプレイヤーができるのはクリックして次のシーンに行くことだけ。エンディングは、薬を飲まないことを選択した未来の話か、milk-chanが狂うことになった過去の話だと思ってる。

分からないでしょ(You won't get it.)

  • キャプションは「分かろうともしてない」
  • デフォルトエンディング。「最初の死」を経験するか、他のエンディングに当てはまらない場合。
  • 不思議な少年「トレスカ」の牛乳を買いに行くのを手伝う。なんとなくmilk insideを想起させる感じ。
  • milk-chanが自分のことを客観視できるようになった=プレイヤーの視点を併合できたってこと?

私たち友だち?(Are we friends?)

  • キャプションは「友だちってこんな感じね」
  • 条件:「最初の死」を見ない、探索で「電話」を拾う(探索では「なにこれ?」としか言わない)。
  • milk-chanはどんなときでも電話でチャットをしている。ただ、相手はピザ屋の自動応答チャット。
  • 他のエンディングよりも世界の色がはっきりしていて鮮明だけど、milk-chanがインターネットの世界にのめり込んでしまったがゆえに現実世界なんて見なくなってしまった?
  • 最後は「セッションが終了されました」という表示と禁止標識が出て終わる。その直前に線路の上を歩いてるっぽいのも不穏。

全部うまくいく(Everything is fine)

  • キャプションは「見て分からない?」
  • 条件:「最初の死」を見ない、「電話」を拾わない、全ての「ホタル」を集める。
  • milk-chanは学校に通っている? 毎朝「あぁ、最悪な朝が来た」「何で私の顔ってこんな馬鹿っぽいの?」と自問している。
  • 朝を迎えるたびに自分の顔が変わるが、milk-chanは気にも留めていない(ブログ最後にある写真がそれ)。途中で黒死牟も出てくる。
  • 顔がまっさらな状態となった時、「今日はすごくいい気分、登校初日が楽しみだな!」と言って終わる。
  • 考えられるのは(精神状態のせいで)転校を繰り返しているか、同じ学校なのに毎回初登校だと思い込んでしまっているか。
  • なんとなく後者のような気がしている。冷静な部分であるところのプレイヤーに対して「(本当に全部うまくいくのかって…)見て分からない?」と問いかけているかのような。

誰かいる?(Is anyone there?)

  • キャプションは「誰かいた?」
  • 条件:「最初の死」を見ない、「電話」を拾わない、「ホタル」をすべて集める前に切り上げる、ラップトップの会話を全て聞く、「二度目の死」を見る
  • これと次の「視線を落とす」エンドはほとんど意味不明だった。
  • 真っ暗な部屋にいて、ドアがどんどん遠ざかっていくのを必死に走って追いかけると真っ暗な草原に出てくる。草原では何か恐ろしい鳴き声が聞こえて走って逃げている?
  • 真っ暗な部屋というのは、おかしくなった幼少期milk-chanを両親が部屋に閉じ込めた(もしくは精神病院に入院させたという考察もある)ときのトラウマで、草原はそこからの脱走とかなのだろうか…
  • このトラウマのせいでより一層狂い、父母・周りの人間に対する怯えが酷くなった?

視線を落とす(I look down)

  • キャプションは「お願い、止めて」
  • 条件:「最初の死」を見ない、「電話」を拾わない、「ホタル」をすべて集める前に切り上げる、「二度目の死」を見ない
  • 上も下も見えないほどデカいコンクリートの柱の螺旋階段を昇り続けて、もしくは降り続けている。柱は周りに何本もあって、強い風が吹き続けている。
  • 言ってることがまったくわからんかった。宇宙の神秘的な話とか、詩とかを話しているっぽいが、これはmilk-chanの思考の迷宮的なのを暗示しているのか?
  • 海外の考察ガイドを読むと、催眠療法を受けている(が、治らなかった)という話かもしれないらしい。催眠療法が「内なる経験」に注目させるものであり、milk-chanにとってはそれが何千もある螺旋階段を下り続けることだった。う~~む。

おわり

一番好きなエンディングは「全部うまくいく」と「私たち友だち?」かなぁ。少なくとも視界が赤くないし(単純に赤い色覚に見える前の話と言うだけなのかも)。

参考にしたのは、

エンディングコンプリートガイド↓ steamcommunity.com

外国人の長い考察↓ steamcommunity.com

日本人の考察・感想の中ではだいぶ長いやつ↓ 12garage.hatenadiary.jp